くじらホスピタルとは

心療内科・精神科の入院治療を専門に行う、はじめての一般病院 です。

くじらホスピタルは精神病院ではありません。
「人格障害」「摂食障害」「うつ」「PTSD」「依存症」などの入院治療を専門的に行う一般病院です。
従来の精神病院では、対応がむずかしいとされていた領域の患者様を受け入れ、患者様の自主性を尊重しながら治療を行う入院施設です。
一般病院なので、入院にあたっては患者様本人の「治したい」という意思が必要です。

※一般病院は精神病院と異なり、強制入院には対応できません。 患者様本人の同意に基づいた入院のみ対応しています。

くじらホスピタルの役割

今まで、症状に見合う治療施設が見つからなかった
患者様を受け入れ、地域社会と連携しながら、
精神科医療の新しい領域に対応しています

複雑化する情報社会の中で強いストレスを受けたり、家族関係・人間関係などの不安や悩みから「こころの病気」になる人は、年々、増加しています。
しかし、こうした現代社会特有の「うつ」「摂食障害」「人格障害」「適応障害」「依存症」等に対応する専門的な治療施設は、残念なことにあまり見あたりません。
外来を中心とした精神科・心療内科のクリニックか、または旧来の「統合失調症」等の患者様を対象とした精神病院がほとんどという状態が続いています。

本来、こうしたストレス等から発症された精神科領域の患者様は、自主性を尊重しながら入院治療を行うことで、自律・快方に向かうことができる患者様です。
ところが、旧来の精神病院に入院され、かえって、病状が重くなるケースも見られます。
結果的に「精神病院に入院すると長期間、管理・拘束されたままで社会復帰できない」状態になり、それが、患者様のみならず、社会全体の「精神科への入院治療」に対する恐怖心を植え付け、治療の機会を逃すという深刻な事態を招いてきました。

くじらホスピタルは旧来の精神病院ではありません。
「うつ」「摂食障害」「人格障害」などの領域の患者様を受け入れ、専門的な入院治療を行う一般病院です。患者様の自主性を尊重しながら治療にあたり、自律・快方へ向かうサポートをする役割を担っています。
最近では、医療界全体の考え方も「完治が難しい患者様は、症状と上手に付き合いながら、社会生活を送れるように支援する」という方向へと変化してきました。

くじらホスピタルは「病気」だけにフォーカスせず、患者様という1人の「人間」と向き合う視点を大切にしています。
患者様が社会と隔絶されず、どのように生活することがよいのか、医師をはじめとした医療スタッフ、ケースワーカーを交えたチームで考えていきます。
患者様が社会の中で「よりよく生きる」ために、患者様と社会をつなぎながら、サポートしていくことが、くじらホスピタルの役割だと考えています。

さまざまな機関との連携

くじらホスピタルでは、患者様の生活全体を考え、必要に応じてさまざまな機関と連携して対応していきます。
患者様とご家族、医療、各種機関、行政サービスなどをつなぎ、患者様のよりよい生活が実現されることを目指しています。

医療

  • 精神科病院、精神科・心療内科クリニック
  • 一般病院(内科、外科、産婦人科、小児科)
  • 救急病院、精神科スーパー救急

公的機関

  • 警察、救急消防
  • 社会福祉事務所
  • 区役所、保健所、各種相談機関、虐待防止施設
  • 母子生活支援施設、女性支援センター
  • 児童相談所
  • 学校、保育園
  • 老人福祉施設、介護施設

民間

  • 相談機関、保護施設、支援団体
  • 老人福祉施設、介護施設
  • 学校、保育園
  • 避難シェルター

※AA、NA、GAなど : AAはアルコール依存、NAは薬物依存、GAはギャンブル依存で、それぞれ依存症患者による自助グループを指す。ミーティングなどを行っている。

例1:虐待・DV

母親による子どもへの虐待が保健所によって発見された場合、婦人相談員等とともに母親がくじらホスピタルを受診し、虐待の原因となった精神状態を探るなど、治療を開始します。子どもは児童相談所の判断で母子分離され、乳児院等の施設で保護されます。母親が治療中に、医師はケースワーカーが夫やその他の家族にも面談を行い、場合によっては弁護士も参加して家族の再統合を目指し、家族関係を調整します。必要に応じて学校、保育園といった機関とも連絡を取り合いながら対応を進めます。夫によるDVが疑われるケースは、退院後に母子が生活する避難シェルターの紹介、生活保護手続のアドバイスなども行われます。
これら、関係機関の担当者が、くじらホスピタルでミーティングを開くなど、意見交換や情報共有をしながら連携したサポートを実現していきます。


例2:依存症

くじらホスピタル、家族、社会福祉事務所、民間の相談機関、患者自助団体など


例3:うつ

くじらホスピタル、相談機関・産業カウンセラー、復職支援のための企業担当者など

くじらホスピタルの想い

精神病院ではない入院施設が必要とされている。
なんとかできないか?

医療法人青峰会は、1958年、愛媛県に現理事長の父によって開設された診療所を出発点に、精神病院「くじら病院」として、地域の精神科医療に取り組んできました。
その後、医療法人を引き継いだ上村は、1980年頃から他院に先駆けて病床を削減し、患者様の社会復帰を促すなど、患者様の人権を尊重した病院改革を行いました。
さらに「人格障害」や「摂食障害」「うつ」などの患者様には、自主性を尊重した入院施設が必要と考えます。
そして、全国からアクセスしやすい東京の静かな運河沿いに、精神科の入院治療を行う一般病院として開設したのが「くじらホスピタル」です。

精神科の医療改革に向ける熱意のルーツ

愛媛の「くじら病院」が開設された昭和30年代は、精神疾患の患者様や精神病院に対して偏見が強い時代でした。当時の医療政策により、保護の名の下に患者様に対する管理・拘束が当然のように行われていた時代です。

上村の父も精神病院を経営する精神科医でした。その頃は精神科医とその家族も病院内に住まうことが多く、上村は生まれたときから精神病院内で患者様と共に生活した経歴を持っています。

上村にはこんな思い出があります。
「住居は風呂が病院と共同でしたから、夕方、子どもの私は家族とともに敷地内の風呂へ出かけていきます。入院患者の皆さんがいる中を通って風呂へ向かうのですが、子どもの私を皆さんが見ていました。入院されている患者様は皆、家族と離れて入院生活を余儀なくされている方々です。私は子どもでしたが、皆さんが離れている家族のこと、もう二度と一緒に暮らせないかもしれないそれぞれのお子さんや親ごさんのことを思い出されているということが、手に取るように感じられました。そして、その中で私たち家族だけが普通に暮らしている。そのことに対し、いたたまれない思いを抱きました」
そうした患者様への強い共感を抱えて成長し、医学を志した上村は、精神科医になった後、世界各地の精神科医療施設を熱心に見てまわります。

「精神科医療はお国柄によって実にさまざまでした。そして、日本の精神病院では当然とされていた管理・拘束はあまり見かけません。それどころか、スペインでは病院内にバルがあり、患者様は昼間からビールを飲んでいたりと、驚く光景にも出会いました。
多くの場合、入院治療で回復後は他の病気の患者さんと同じように退院し、普通に社会復帰していきます。長期間入院している方にしても、地域で共生しながら明るく過ごしていました。また、ブラジルには生活施設が整った専用の巨大なコロニー(共同体)がありました。そこには、患者様同士が結婚して生まれた子どものための教育施設まであります。看護師学校もあり、病気の両親を持つ子どもたちが看護師になる勉強をしていました。彼(彼女)らは病気に対する偏見がなく、患者様に対する理解と共感が深いため、とてもよい看護師になるという評判でした。
そこで暮らす方々は、病気を持ちながらも自分の人生を自分のものとして、イキイキと生きているように見えました。私は当時の日本の精神科医療とのあまりの違いに大きなショックを受けました。そして、幼い頃から目にしていた患者様たち、精神病院で隔離されて一生を過ごす患者様たちの顔を思い出し、いつか日本の精神科医療を変えていこうと考えていました」

精神病院ではなく一般病院で精神科の治療をする

その後、時代が変わり精神科医療を取り巻く状況も変化しました。適切な薬物療法が取り入れられるようになり、こころの病気が多様であることも理解されるようになりました。
しかし、現在でも、窓には鉄格子がはまり、外から鍵をかけられる病室など、精神病院(※1)にまつわる暗いイメージはそのままのようです。
それは、精神病院には建物などに厳密な規定があり、それは、場合によっては患者様の安全のために行動を管理したり、身体を拘束したりしなければならないので、そのような設備が決められているからです。
しかし、そうした管理・拘束が必要な患者様は全体の約1~2%です。それ以外の約98%の患者様も、入院を受け入れる他の施設がないという事情のため、管理・拘束のある精神病院に入院することが多く、その状況が長く続いていました。

上村は自身の経験と日々の診察から、実際に管理・拘束が必要な患者様よりも、人格障害や摂食障害、うつ状態などの患者様のほうが、圧倒的に人数が多いこと、そうした患者様に適した入院施設や治療空間がほとんどないことを痛感していました。逆に不当な管理・拘束によって病気が悪化していく患者様は多く、人権上も大きな問題だと感じていました。

そこで、そうした患者様が生活リズムを整えながら治療に専念でき、社会復帰を目指す治療環境を作ることを思い立ちました。
精神病院とはまったく反対の考え方で、患者様が自分で管理できる鍵付きの個室を設置。患者様の自主性を尊重し、プライバシーに配慮することが、患者様の自律と回復を助け、治療効果を上げると確信していたからです。
それまでの精神科医療の常識を覆す「くじらホスピタル」は、こうした上村の想いをきっかけに、精神科の入院治療を行う一般病院として2006年に誕生しました。

現在では、ストレスケア病棟として、居心地の良い病室を採用する精神病院も、少しずつ見られるようになりました。しかし、それはあくまでも精神病院内に設置されたスペースで、患者様の状態によっては、すぐに鍵のかかった病室へ逆戻りさせ、管理できるようになっています。
くじらホスピタルは、そうした治療する側の都合を一切担保せず、一般病院としての開設に踏み切りました。今まで相応しい治療空間がなかった人格障害や摂食障害などの患者様に、安心して入院できる環境を提供したいという、上村の強い想いがあってこそ実現できたと言えます。

くじらグループ(※2)はこれまで、より多くの患者様に対応できることを目指して、精神病院や福祉作業所、その他、回復リハビリ病棟など、多種多様な治療空間、医療施設や福祉施設を手がけてきました。
その中で、くじらホスピタルは、今まで精神病院しか受け入れ先がなかった人格障害や摂食障害、うつ状態などの患者様を一般病院で受け入れ、入院治療で回復を目指すという役割を担っています。

(※1)平成18年に法律によって「精神科病院」の用語に改められましたが、本サイトでは通例として「精神病院」としています。
(参考資料)『メルトダウン家族』(上村神一郎著 総合法令出版)

くじらグループとは(※2)

「先見性に富む柔軟な発想で理想の医療を追求する」ことを理念として、愛媛県を中心に全国展開する医療福祉グループ。医療法人青峰会の医療施設のほか、障害者社会復帰施設、高齢者介護施設等の運営を行い、地域の医療・福祉の充実と発展に取り組んでいます。

くじらグループWEBサイト >

シンボルマークについて

くじらホスピタルはくじらグループの一員です。くじらグループは、昭和48年に誕生した医療法人青峰会を中心として医療・福祉の分野で広く展開しています。

くじらホスピタルのシンボルマークは、くじらグループのシンボルマークをベースにしています。マークに込められた意味は、中央の「くじら」が、「くじらグループ」全体を表わし、双葉の芽をイメージした「尾びれ」は「成長」「発展」を表わします。3本のラインは「医療・思いやり・団結」という3つの信念。その3本の波が常に私たちを支えています。


デザイン:原田泰治(はらだ・たいじ)

1940年生まれ。長野県諏訪市出身の画家。「日本の歌百選」(講談社)等著書多数。
クロアチア共和国ナイーブ美術協会名誉会員。紺綬褒賞受賞。長崎市「ナガサキピースミュージアム」名誉館長。
(原田泰治公式サイトより)