1リハビリテーションの段階

リハビリテーションは、その時期によって大きく3段階に分かれます。

  • 急性期リハビリテーション
  • 回復期リハビリテーション
  • 維持期(生活期)リハビリテーション

例えば、自宅で倒れて救急車で病院へ運ばれて、緊急手術を受けたとします。
手術の翌日くらいから少しずつ始めるのが急性期リハビリテーションです。

そして術後の状態が落ち着いて、点滴などの専門的な治療が終了したとします。
もし身体の機能が低下していてそのままでは自宅生活が送れないようなら、リハビリ専門の病棟へ移動したり、リハビリ専門の病院へ転院します。そこで行うのが回復期リハビリテーションです。

そこでがんばってリハビリをして、自宅生活が可能なレベルまで機能が回復して、晴れて退院できたとします。
その後に機能が低下しないようにクリニックやデイサービスや訪問で行うのが維持期(生活期)リハビリテーションです。

2回復期リハビリテーション

回復期リハビリテーションが行われるのは、発症や受傷から1~2か月くらいが多く、リハビリによって最も機能が回復しやすい時期です。医療保険制度上も、急性期や維持期よりも長時間のリハビリが認められています。その時期に専門的なリハビリをしっかり行って、機能ができるだけ回復するよう努めます。

3回復期リハビリテーションの
ゴール

ただし、機能の回復は無限ではありません。発症や受傷する前の元々の状態を超えてまで機能が上がる事は、普通ありません。リハビリを続けていくと、どこかで必ず伸びが止まります。そこが機能の最高到達点であり、回復期リハビリテーションのゴールになります。そうなったら退院の時期を迎えた事になります。

4回復期リハビリテーションの
目的

回復期リハビリテーションの目的は「患者さんを居るべき場所へ帰してあげる事」であるとも言えます。そのためにリハビリをしっかりやって、また自宅で生活できるだけの機能を再獲得してもらいます。中には職場へ戻るためにリハビリが必要な人もいます。もしリハビリだけでは足りなければ、杖や装具などの器具も使います。ヘルパーさんやデイサービスなどの導入も手伝います。それでも自宅での生活が難しい場合は、他に安心して生活できる場所を探します。

5回復期リハビリテーションの対象疾患


回復期リハビリテーション病棟とは、厚生労働省で定められた対象疾患(脳血管疾患や大腿骨頸部骨折など)を患い、急性期治療を終えた方が、自宅や施設での生活を再開できるよう、集中的なリハビリテーションを行う病棟です。
医師や看護師、リハビリスタッフ、ソーシャルワーカー、心理士、管理栄養士、薬剤師など、多くの専門職種がチームとなり、患者様やそのご家族様をサポートします。
なお、入院できる期間は疾患ごとに厚生労働省によって定められています。




回復期リハビリテーション病棟の対象となる疾患と入院上限日数

対象基準 入院期間
脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血のシャント手術後、脳腫瘍、脳炎、急性脳症、脊髄炎、多発、性神経炎、多発性硬化症、腕神経叢損傷等の発症後もしくは手術後、または義肢装着訓練を要する状態 150日
脳高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頸髄損傷及び頭部外傷を含む外部位外傷 180日
大腿骨、骨盤、脊椎、股関節もしくは膝関節の骨折または二肢以上の多発骨折の発症後または手術後の状態 90日
外科手術または肺炎等の治療時の安静により廃用症候群を有しており、手術後または発症後の状態 90日
大腿骨、骨盤、脊椎、股関節または膝関節の神経、筋または靭帯損傷後の状態 60日
股関節または膝関節の置換術後の状態 90日

6地域包括ケア病棟におけるリハビリテーション

  • 地域包括ケア病棟とは
  • 急性期病院で症状が安定したものの、在宅復帰に不安がある方、回復期リハビリ病棟退院後にご自宅でお困りの方、ご家族の事情によりレスパイト入院を希望される方が対象となります。


  • 当院が目指す地域包括ケア病棟
  • 13歳から高齢の方を対象に患者様お一人お一人、またそのご家族に寄り添います。20年以上にわたり培ったメンタルサポートの力を活かし、心と身体のリハビリを目指して参ります。


  • 在宅復帰をスムーズに行うために

主治医、看護師、専従リハビリスタッフ、入退院支援部門、臨床心理士、管理栄養士、薬剤師等の各専門職が密接に連携を図りチーム全体で協力し、在宅復帰支援をサポートして参ります。

7理学療法

理学療法とは?

理学療法(りがくりょうほう)は、けがや病気、高齢や障害などで、体が思うように動かせなくなった人に対して、体の動きをよくするために行う治療を行い体を動かす力をサポートする動作訓練の専門家です。


理学療法では、次のような方法を使って体の機能を回復・維持します

体を動かす運動の練習(歩く、立つ、座るなど)
温めたり、電気を流したりする治療(血行を良くしたり、痛みをやわらげたりします))
装具などを使用した練習


どんなことをするの?

    ① 立つ・歩く・座るなどの基本動作を改善

    骨折、脳卒中、関節の病気、ケガなどで動きにくくなった体を、訓練によって元のように動かせるようにします。ベッド上での寝返りや、トイレへの移動、階段の昇り降りの練習も行います。



    ② 筋力・柔軟性・バランス能力を高める

    動かないことで衰えた筋力を回復させたり、関節の動きを柔らかくするストレッチを行います。転倒しないためのバランストレーニングなども行います。



    ③ 日常生活に必要な動作の練習

    家事や外出、買い物など、実生活で必要な動作をスムーズにできるよう練習します。



    ④ スポーツや仕事への復帰支援

    スポーツや職場に復帰するために、個別のトレーニングプログラムを作ってサポートします。



    ⑤ 痛みや不調の緩和

    温熱療法、電気治療、ストレッチなどを用いて、肩こりや腰痛、関節の痛みを和らげる治療も行います。



    ⑥ 生活環境のアドバイスや福祉用具の選定

    自宅での生活を安全に送るために、手すりの設置や段差の解消などの環境調整を提案します。車椅子や歩行器などの福祉用具の使い方も指導します。



装具療法とは

身体の動きをよりよくするための“体の補助具”を使った治療です。単に固定するのではなく、動きながら支え、生活の中で使えるように工夫することがポイントです。

患者さん一人ひとりの状態や生活環境に合わせて、医師・義肢装具士・理学療法士がチームで取り組む治療です。
当院では装具に精通した理学療法士が在籍しており,外部から義肢装具士が訪問し義肢・装具の作成・調整を行っております。

理学療法ではこれらの方法を使って
「自分の力で動けるようになること」や「今の体の力をなるべく保つこと」を目指して行われます。


8作業療法

「人は何かをすることで元気になれる、幸せになれる」という考えにもとづいたリハビリの方法です。
ここでいう「作業」とは、特別なことではなく、日常生活の中で行うさまざまな活動のことを指します。

たとえば:
  • 食事、着替え、トイレなどの基本的な生活動作
  • 掃除や料理などの家事
  • 仕事や勉強
  • 趣味、遊び、友人との交流、休息など

  • 作業を通じて、心や体の力を回復・維持・悪化予防 → たとえば、手先を使う作業や、軽い運動など。
  • やりたい・やるべき作業を練習して、できるようにする → たとえば、食事や着替えの練習、職場復帰のトレーニングなど。
  • 生活しやすくなるように、まわりの環境を整える → たとえば、道具を使いやすくしたり、自宅の家具の配置を工夫したり。

    作業療法で大切にしていること

  • 人にはそれぞれ、「これができるようになりたい」「これはやらなきゃいけない」「周りに期待されている」という思いがあります。
  • 作業療法では、その人が自分らしい生活を送れるように、その人にとって大切な活動(作業)に注目してサポートします。



  • 当院で使用している人間作業モデルについて

    当院では人間作業モデルという「どうして人は日常生活の中で作業(活動)を選び、続け、うまくできるのか」を説明する理論を取り入れた支援を行っています。作業療法で広く使われている枠組みで、体の動きだけでなく、心の動きや習慣、環境との関係までを包括的にとらえ、生活を豊かにする支援を目指します。


9言語聴覚療法

言語聴覚士(ST)は、話す・聞く・食べるといった、コミュニケーションや飲み込みに関わる問題を持つ人を支える医療専門職です。

  • 「うまく話せない」
  • 「聞き取りづらい」
  • 「声が出しにくい」
  • 「食べ物がうまく飲み込めない」

こうした症状を持つ方が、自分らしく生活できるようにサポートするのが言語聴覚士の仕事です。


どんなことをするの?

言語聴覚士は、子どもから高齢者まで、さまざまな年齢層の方を対象に次のような支援を行います。

    1. ことばの訓練

  • 発音がうまくできない言語障害に対する練習
  • 失語症(脳の障害で言葉が出にくくなる)の方へのリハビリ

    2. 聞こえの支援

  • 補聴器の使い方の指導
  • 聴力検査や聴覚トレーニング

    3. 声のトレーニング

  • 声がかすれる、出にくいなどの声帯のトラブルへの訓練

    4. 飲み込みのリハビリ(嚥下訓練)

  • 食べ物や飲み物をうまく飲み込めない方へのサポート
  • 誤嚥(食べ物が気管に入ること)を防ぐためのトレーニング

10認定資格リスト

当院には様々な学会や研究会に参加し、それぞれの分野において一定水準以上の能力を持つと判断された資格を所有するセラピストが多数在籍しております。

  • 専門作業療法士(脳血管) 1名
  • 博士課程修了者 1名
  • 認定作業療法士 2名
  • 登録理学療法士 1名
  • 公認心理士 2名
  • 福祉住環境コーディネーター2級 2名
  • AMPS認定評価者 1名
  • A-ONE認定評価者 1名
  • 福祉用具プランナー 1名
  • 3学会呼吸療法認定士 2名
  • 骨粗鬆症マネージャー 1名
  • 介護支援専門員 1名
  • 国際マッケンジー協会認定セラピスト 1名
  • 両立支援コーディネーター 1名
  • 日本作業療法士協会 臨床実習指導者実践研修修了者 1名
  • 日本作業療法士協会 運転と地域移動支援実践者 1名
  • ボバース認定成人基礎講習会修了者(IBITA) 1名
  • 認知症ケア専門士 1名
  • 回復期セラピストマネージャー 1名
  • 日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士 1名
  • オーストラリアマニュアルセラピー講習修了